特定非営利活動法人イエカラでは、空き家対策の取り組みの一環として、令和6年度「空き家対策モデル事業」に関連する意識調査を実施しました。ご協力いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。本ページでは、その調査結果の概要と一部の興味深い傾向をご紹介いたします。
調査概要
• 実施主体:特定非営利活動法人イエカラ
• アンケート名:令和6年度空き家対策モデル事業
• 調査方法:インターネットリサーチ
• 調査時期:2024年度
• 対象者:全国の20~70歳以上の男女
• 調査構成:スクリーニング調査 → 本調査 → 世代別クロス集計
注目の調査結果(ピックアップ3選)👀
✔️ 若年層でも空き家に「住んでみたい」人が約8割!
空き家の利活用に好意的な人
全年齢で空き家の利活用への好意度が58.5%だったのに対し、年齢層別のクロス集計の結果によると、20~24歳で81.4%、25~29歳で82.7%と、非常に高い水準となりました。
✔️ 約7割が「空き家が周辺の市場価格を下げている」と感じている!
空き家が市場価値を下げていると感じている人
空き家所有者ないし、これから所有する可能性のある人のうち、なんと71.7%が物件周辺地域の市場価値を下げていることを危惧している結果となりました。空き家が単なる個人資産ではなく、地域全体の不動産価値に影響を与えているという認識が広がっています。
✔️ 不動産業者への印象に「ギャップ」が!
20代〜30代ではポジティブな印象強め
40代以上ではネガティブな印象強め
40代以上では「どちらともいえない」という回答が5割を超え、「どちらかといえばよくない印象」「よくない印象」が約3割程度ありました。不動産業者への信頼感は世代によって差があることがわかりました。
まとめ
今回の調査では、空き家をすでに所有している方や、近い将来相続などにより所有が見込まれる方々が抱える複雑な心情が浮き彫りになりました。特に「相続」や「相続税」への不安は、全世代共通の大きな課題であり、それに伴う手続きの煩雑さや費用負担、老朽化による資産価値の下落といった懸念も広く見受けられました 。
また、年代ごとに見られる課題の変化も特徴的です。若年層では「知識の不足」や「漠然とした不安」といった心理的な負担が強く、中高年層になるにつれて、実際の維持管理費用や相続人との関係、さらには地域への影響など、より具体的な懸念が深まっていく傾向が確認されました 。
空き家に対しては「活用してみてもよい」と考えている方が全体の約6割を占めていますが、実際にどのように利活用すべきかについては方針が定まっていない方も多く、「何から取り組めばよいか分からない」と回答された方が過半数に達しています 。これは、空き家の利活用に前向きな意識はありながらも、必要な情報や支援が十分に届いておらず、実際の行動に移ることが難しい状況を示しています。
本調査を通じて明らかになったのは、空き家の所有者やその予備軍の多くが、「責任」と「不安」の狭間で揺れているという現状です。その背景には、経済的・感情的・法的な多層的課題が複雑に絡み合っています。こうした想いを丁寧に受け止めるためには、制度の周知や税制面の対策にとどまらず、当事者が安心して一歩を踏み出せるような共感的支援と、対話の場づくりが重要であると考えます。
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